2013/07/03

#753 カナダの体育・健康教育 (3)

研修成果報告書:SAまとめより②

3つの調査研究テーマ(副問)に基づき、カナダ現地調査(2012.10.29~11.09)で収集した情報等を整理・検討したところ、主たる現地調査結果を以下の5つにまとめることができました。

1) カナダ人の健康・体力は、10 年前に比べ肥満や体力低下がさらに進み、深刻な状況であることが分かった。例えば、カナダの子どもの3人に1人(160 万人)が肥満傾向にある。その根本原因は国民の運動不足(physical inactivity)にあるが、カナダ身体活動ガイドラインが示す1日の身体活動時間を達成しているのは、子ども(5~ 17 歳)で7%、大人(18 歳~)で15%にしか過ぎない状況であった。カナダでは、このような国民の運動不足が年間68 億カナダドル(6,120 億円)の医療費の負担増につながることから「運動不足の危機(InactivityCrisis)」として国家的課題の1つに位置付けられている。

2) カナダでは「パティシパクション(ParticipACTION)」「オンタリオ身体・健康教育協会(OPHEA)」「カナダ身体・健康教育協会(PHE Canada)」「中央競技団体(NSO:カナダバレーボール協会他)」等の民間団体(NPO)が身体・健康教育分野に対して非常に効果的なプログラム、サービス等を提供していた。

3) カナダ国民の生涯スポーツの実践に向けた取組の中核に「カナディアン・スポーツ・フォー・ライフ(CS4L)」の「長期競技者発達(LTAD)モデル」が位置づけられていた。

4) カナダには全国統一の体力テストはなく、州、教育委員会または学校独自の体力テストが実施されていた。体育の授業においては「理解のためのゲーム教授法(TGfU)」が活用されていた。また、高校の卒業率を向上させるプログラムの中でスポーツが活用されていた。

5) カナダでは「フィジカルリテラシー(Physical Literacy)」という概念(考え方)が、学校体育においては州教育省レベルの保健・体育カリキュラムの中で、また生涯スポーツ及び競技スポーツにおいてはLTADで、それぞれの基礎部分に置かれていた。

・・・約1年前に、このようなまとめができるとは、まったく想像もつきませんでした!

※平成24年度 教育課題研修指導者海外派遣プログラム研修成果報告書『スポーツ・健康教育の推進』(カナダ:G-1団) pp.77-78 より

0 件のコメント: