2013/01/22

#614 スポーツ活動中の事故防止 (2)

ハインリッヒの法則をどう説明するか…

リスクマネジメントの話をするときに、たいてい活用されるのが「ハインリッヒの法則」です。…ご承知の通り、「1:29:300の法則」でして、「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故と300のヒヤリ・ハット体験がある・・・」というものです。そして、「重大事故を防ぐには身近なところで起こるヒヤリ・ハットするような事象の芽を摘んでいくことが重要である」という経験則として、しばしば紹介されます。

Terry Bird も講義でこの法則を必ず学生に説明しますが、いつも気になっているのが「1:29:300」の解釈(説明)です。…経験則として80年以上も活用されている法則ですので、あまり細かいことを言うな!…とお叱りを受けるかもしれません。…でも気になります。

ハインリッヒさんは5000以上の労働災害を統計学的に分析してこの法則を見出した…と見聞きしてきました。…ただし、原典の「Industrial Accident Prevention: A Scientific Approach(1931)」を読んでみないと、「1:29:300」の本当の意味(主旨)が分かりません。

もし、単に5000以上の労働災害を単純に分類した結果、「重傷:軽傷:ヒヤリ・ハット体験」が「1:29:300」であり、それをもって「1つの重大事故の背後には・・・」と説明しているのであれば、無理があると思います。…その他にも疑問は幾つかあります。

スポーツ活動中の事故防止の観点からも、この「経験則」を否定するるわけではありませんが、「1:29:300」の本当の意味が知りたいです。…ハインリッヒさんの上掲書の目次(PDF)は入手しましたが、現物(初版)は5か所の大学図書館に所属されているのみです。

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